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「ガス自由化」についての基礎知識①

2017年4月に全面解禁となったガスの自由化。電力の自由化と並行して進む,日本最大規模のエネルギー改革の一環です。電力会社がガスを販売したり,ガス会社が電力を取り扱ったりと,いろいろなプランが登場しています。気になるガスの自由化について,2回にわたりお届けします。

日本のガス業界事情

2018年7月に発表された「第5次エネルギー基本計画」において,2050年に温室効果ガス80%削減を目指し,「より高度な3E+S」が明言されました。この中で天然ガスは,脱炭素化のために重要なポジション。非効率な石炭などをフェードアウト,「ガス利用へのシフト」という方向性が示されています。さらに,先日本ブログでも紹介したコージェネレーション(CGS)などの分散型電源や,水素利用にも欠かせない熱源として,利用を推進することが指し示されています。

ガス事業は,一般ガス事業と簡易ガス事業,LPガス事業の3つに大分類され,このうち,ガスの自由化の対象となるのは,一般ガス事業と簡易ガス事業で構成される都市ガス事業。ちなみに簡易ガス事業とは、70戸以上の団地などで、敷地内にガス発生設備を設置し、各戸に届ける形態で、別名「団地ガス」とも呼ばれます。

ガスの自由化は,実は電力自由化より早く,1995年から段階的にスタートしています。1995年,ガスの年間使用量が200万立方メートルを超える大口需要家が規制緩和の対象となり,2007年には10万立方メートルを超える需要家まで,さらに2017年に家庭や商店などを含むすべての需要家が自由化の対象となっています。

ガスの自由化の対象は,都市ガスの導管が整備されているエリアに限定されるため,国土の約6%です。ただし,市場規模は約5兆円というビッグマーケット。都市ガス事業者にはいくつかの特徴があり,中小事業者が多いこと,可燃性のガスを取り扱うため保安に関心が高いこと,オール電化やLPガス,灯油などの他の熱源との競合により,赤字の事業者も多いことなどが挙げられています。したがって,ガスの自由化はこれらの特徴を考慮したうえで進められています。

ガスの自由化が目指すもの

ガスのシステム改革の目的は以下のとおり。

①天然ガスの安定供給の確保

②ガス料金を最大限抑制

③利用メニューの多様化と事業機会拡大

④天然ガスの利用方法の拡大

電力システム改革の目的とよく似ていますが,「③利用メニューの多様化と事業機会拡大」という点が異なります。利用者の選択メニューが増えることはもちろん,他業種からの参入,都市ガス会社の他エリアへの進出など,ビジネスの活性化やイノベーションが期待されています。

他業種からの参入などにより、ガス業界全体の活性化を目指すガスの自由化。次回はガスビジネスへの参入についてお送りします。

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