電気保安を意図的に逃れる太陽光発電所の“分割案件”は、安全上の問題などを引き起こすと懸念され、FIT法の施行規則によって規制されるようになりました。
しかし、近年は、非FITの太陽光発電所でも同様の案件が増えているといいます。経済産業省は、非FIT発電所についても関係する規定を見直す考えを示しました。
電気保安などの問題をはらむ太陽光発電所の分割
太陽光発電所の分割に関する問題とは、次の通りです。
本来は50kWを超える規模であるのに、発電設備の間にあえて柵や塀を設置し、50kW未満の低圧設備であるとして接続申し込みをします。低圧の発電設備には電気主任技術者の選任や工事計画の提出などの義務が課されていません。そのため、これらの義務を負う50kW以上の発電設備より運営コストを低く抑えられると考えられます。
しかし、本来は必要な電気保安を行わないのですから、安全上の問題が発生してもおかしくありません。また、事業主が負担するべき保安コストを一般送配電事業者に転嫁していることになり、不要な電柱やメーターといった系統運営のコスト増につながる点も指摘されています。
非FITの“分割案件”対策で規則を見直しへ
2021年11月18日の第41回 電力・ガス基本政策小委員会によると、こうした分割が疑われる非FIT案件が急増しているといいます。同年6月末時点に242件・約4万kWであったのが、8月末時点では713件・約11万kWになったと報告されました。
FIT法では、こうした分割案件を防ぐ施行規則がすでに定められているため、ルールが未整備の非FIT案件で分割が増えていると考えられます。
そこで、経済産業省は、特段の理由がない限り分割を認めないよう施工規則を見直す考えを示しました。先行するFIT法の規定に準じる内容になると予想されます。同委員会に出席した委員からは、おおむね賛成する声が挙がりました。
レピュテーションリスクにつながらない再エネ調達を
再生可能エネルギーの調達手段として主流となった太陽光発電所は、脱炭素化の加速によってニーズが高まっています。その一方で、森林の伐採などの環境破壊を伴う開発や、地域住民への配慮に欠けた発電所のあり方も問題として浮上しています。
法の網の目をくぐるような再エネの調達手法は、企業の評判を落とすレピュテーションリスクになりうるでしょう。当社は、企業価値を向上させる再エネの調達方法とは、リスクを増大させるものであってはならないと考えます。
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