2021年度容量市場、約定価格が大幅下落! 背景に多数のゼロ円入札か
2021年12月22日、容量市場の2021年度メインオークション(対象実需給年度:2025年)の結果が発表されました。昨年度は上限価格に近い約定価格でしたが、今回は打って変わって安値での約定となりました。
「容量市場」とは
そもそも容量市場とは「kW価値」と呼ばれる将来の供給力を取引するマーケットです。将来にわたって発電所が維持されるように、実際の取引の4年前にメインオークションを実施します。
(出展:電力広域的運営推進機関『容量市場メインオークション約定結果(対象実需給年度:2025年)』)
昨年行われた容量市場メインオークションでは、kW価値が実際に取引されるのは2024年。初のメインオークションは、上限価格より1円安い1kWあたり1万4,137円という結果になりました。(参考『容量市場、高値約定に衝撃。入札ルール見直し、電気代への転嫁は? | REiVALUE Blog』)
この約定価格は、すべての小売電気事業者が分担して負担することになっています。これを容量拠出金と呼びます。約定価格が高値となり、小売電気事業者の負担増が懸念されることからも、昨年の容量市場は大きな話題を呼びました。
約定価格は前年度より6~7割低く
さて、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が12月22日に発表した容量市場の2021年度メインオークション(対象実需給年度:2025年)結果は次の通り。目標調達量1億7,699万kWに対し、約定総容量は1億6,534万kWとなり、約93%の調達にとどまりました。
(出展:電力広域的運営推進機関『容量市場メインオークション約定結果(対象実需給年度:2025年)』)
今回は約定処理上の問題から、電力エリアごとにエリアプライスが算定されています。北海道と九州は1kWあたり5,242円となりましたが、それ以外のエリア(沖縄除く)は3,495円となりました。
前年と比べると、6~7割もの大幅ダウンとなっています。これによって、小売電気事業者が負担する容量拠出金は4,713.4億円となりました。単純に比較すると、前年より約1兆円下がったことになります。
約定価格を急落させたのは8割超のゼロ円入札か
とはいえ、約定価格が下がればいいのかというと、必ずしもそうとは言い切れません。あらかじめ算出された、新規発電所の固定コスト(Net CONE)は1kWあたり9,372円でした。このNet CONEよりもはるかに安い約定価格となったことで、新規電源への投資が鈍るのではないかとも懸念されます。
(出展:電力広域的運営推進機関『容量市場メインオークション約定結果(対象実需給年度:2025年)』)
OCCTOが示した応札価格の分布によると、ゼロ円での応札が全体の82.9%を占めています。ゼロ円で札入れをした電源のほとんどが、火力や原子力といった1,000kW以上の大規模な安定電源でした。
容量市場の2021年メインオークション(対象実需給年度:2025年)の結果は、これからOCCTOや経済産業省の委員会などでより詳しく分析されると思われます。価格が急落した要因についても調査が進められるでしょう。当社は、こうした調査・分析の経過についても本ブログにて随時お届けしていきます。
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