省エネ法の改正案、エネルギーの定義見直しで非化石への転換促す
2021年12月24日、経済産業省は省エネ法見直しの具体的な方向性を打ち出しました。同年10月の「第6次エネルギー基本計画」で需要サイドのエネルギー転換を後押しするとして省エネ法の改正を示唆していましたが、その道筋が明らかになりました。(参考『第6次エネルギー基本計画が閣議決定! 電源構成、再エネ比率は?』)
見直しのポイントは大きく次の3点です。
①使用の合理化の対象の拡大【エネルギーの定義の見直し】
省エネ法の「エネルギー」の定義を、非化石エネルギーを含むすべてのエネルギーに拡大します。現行では、省エネ法の対象となる「エネルギー」は、化石燃料や化石燃料由来の熱・電気に限定されていますが、これは、もともと省エネ法が1970年代の石油危機をきっかけに、化石燃料に関するエネルギー使用を合理化するために成立したことに由来しているためです。
②非化石エネルギーへの転換に関する措置【新規】
特定事業者などを対象に、非化石エネルギーへの転換についての中長期計画や非化石エネルギー利用状況を、毎年報告するよう求める制度を新設するとされました。具体的には、非化石エネルギー利用割合の向上、製造プロセスの電化・水素化、購入エネルギーの非化石化といった項目を新たに記載するようになるとみられます。
また、非化石エネルギーへの転換は、一部の事業者だけでなく産業界全体で進めるべきとして「事業者の創意工夫を促す形で対応を進めていく」としました。
そのため、まずは、2030年度に向けて、事業者ごとに国が定めた判断基準に沿って、非化石エネルギーの利用割合目標を設定することになると予想されます。なお、系統から調達した電気は小売電気事業者別の非化石電源比率を反映するとされました。
③電気需要最適化に関する措置【電気需要平準化規定の見直し】
電力の需給状況に合わせて、電力需要を上げ下げするデマンドレスポンス(DR)を促すため、電気の一次エネルギー換算係数に、基本的には全国一律の全電源平均係数を用いるとされました。そのうえで、出力制御時や需給ひっ迫時などには、それぞれ異なる電気換算係数を適用する考えを示しました。
つまり、太陽光や風力発電の出力制御が発生するタイミングに電力需要をシフトしたり、逆に電力需給がひっ迫する際の需要を減らしたりする措置が取られる見通しです。
また、小売電気事業者に対し、需要家が電気の使い方をシフトしやすいような電力料金体系(時間帯別料金など)を整備するよう求めるとみられます。
ここでは、これまでの需要の“平準化”から“最適化”と、キーワードの変化もみられました。社会体でエネルギーを効率的に使うために、あらゆるセクターに行動の変容が求められているといえるでしょう。
改正省エネ法は2023年度に施行の見通し
こうした改正省エネ法案は2023年度の施行を目指し、今後、国会に提出されるとみられています。エネルギーの定義そのものが変わるなど、大幅な改正が予定されている省エネ法。当社では今後の動向にも注目してまいります。
改正省エネ法への対応など、脱炭素対策をお考えの方は、専門知識の豊富な当社スタッフがサポートさせていただきます。どうぞお気軽にお声かけください!
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