経済産業省は3月16日、2021年11月から始まった再エネ価値取引市場について、需要家が取得した証書の活用期間を明らかにしました。また、今後、トラッキングを有償化する考えを示し、その概算コストについても示しました。
環境表示価値を主張できるのは翌年6月末まで
経産省は3月16日の第63回 制度検討作業部会において、再エネ価値取引市場で需要家が取得した環境表示価値※の活用期間を明確に示しました。再エネ価値取引市場とは、需要家がFIT非化石証書を直接購入できる場で、2021年11月に開設されました。これまでに2回のオークションが実施されています。
※環境表示価値:証書の有する付加価値を表示・主張が出来る価値。具体的には、証書を電気と併せて利用することで実質再エネ等であることの主張が可。またRE100等の国際イニシアティブに対する報告に活用することも可。
出典)資源エネルギー庁 2022年1月7日付「非化石証書のトラッキングに関する事業者向け説明資料(需要家・小売事業者でない仲介事業者対象)」より抜粋
これまでのオークション結果については、こちらの記事も併せてご覧ください。
(リンク:再エネ価値取引市場、第2回オークション結果を発表! 約定価格は? | REiVALUE Blog)
今回の制度検討作業部会で明らかになったのは、2021年1〜12月発電分のFIT非化石証書は、需要家が2021年4月〜2022年6月末までに使用した電力に対して環境表示価値を活用できるということです。
また、再エネ価値取引市場からの直接の調達ではなく、相対取引による調達の場合、取得のタイミングから翌年6月末までの使用電力に対して活用できるとされています。
なお、これまでの小売電気事業者による高度化法や温対法の報告では、1月~12月発電分の証書は、取得した年度(4月~翌3月)の供給電力に対して利用されることになっており、活用期間は報告期限である6月末までとされています。
トラッキング費用の有償化、1kWhあたりのコストは?
一方で、実証が続けられている小売電気事業者向けのトラッキング付き非化石証書は、現在、トラッキングの有無によらず同じ価格とされています。つまり、2022年2月のオークションを例に挙げると、トラッキングなしでも0.6円/kWh、トラッキング付きでも0.6円/kWhというわけです。
しかし、経産省は、本格運用にあたってトラッキングを有償化する考えを示してきました。欧米などですでにトラッキングが有償化されている先例にならう意向です。第63回 制度検討作業部会では、この有償化の具体的なイメージが例示されたのです。
有償化のイメージは次の通り。トラッキング費用を2億円、取引量を年間250億kWhと仮定すると、1kWhあたりのトラッキング費用は約0.008円/kWhになるとのことです。(ただし、現在の実証事業ではトラッキング費用が約8,000万円、今年度の約定量は約95億kWh)
このトラッキング費用を負担するのは小売電気事業者や需要家といった証書の購入者となる見込みですが、正確な金額や開始時期はこれから検討されることになりそうです。当社は今後も、この議論の動向について注視していきます。
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