注目される容量市場~②その仕組みと可能性~
容量市場オークションの仕組み
2020年に開設が予定されている容量市場では、電力量(kWh)ではなく、将来の供給力(kW)が取引されます。発電所の供給力を金銭価値化し、多くの発電事業者が市場に参加しやすくなるように設計されています。容量市場導入の目的は、必要な供給力の確保と電気事業の安定的な運営です。
容量市場の仕組みは以下の通り。広域的電力運営推進機関(OCCTO)が運営の主体となり、オークションを開催します。このオークションは、4年後の供給力を確保するためのものです。オークションに参加できるのは、発電事業者やネガワット事業者など。これよって、落札電源や約定価格が決定されるというものです。
オークションの4年後には、落札した発電事業者に対し容量確保契約金額が支払われます。この容量確保契約金額は、小売電気事業者や一般送配電事業者がOCCTOに対し支払うもの。支払う額は小売電気事業者のシェアによって決まり、容量拠出金と呼ばれます。小売電気事業者は、発電事業者との相対契約を持っていても容量拠出金を支払わなければならないため、容量市場開設後は相対契約を見直す事業者が増えることが予想されます。
容量市場の可能性
容量市場へは、FIT制度の適用を受けている電源を除くすべての電源が参加でき、その参加は任意となっています。また、容量市場に参加した電源であっても、卸電力市場や需給調整市場、非化石市場といったほかの市場へ重複して参加することもできます。つまり、発電事業者はひとつの発電所で4つの市場に参加できる可能性が生まれ、投資回収もしやすくなるというメリットを受けることができるのです。
また、ディマンドリスポンスや自家発、太陽光発電設備などの小規模な電源設備も、条件付きで容量市場への参加が認められています。ディマンドリスポンスと小規模電源については、アグリゲーターによって1,000kW以上に取りまとめられれば、参加が可能です。
FIT期間切れの太陽光発電など、参加要件に見合う発電設備はこれから増えることが予想されます。それらをとりまとめるアグリゲーターの存在は、より一層重要なものとなるでしょう。容量市場に伴う新しいビジネスの可能性について、これからも着目していきます。
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