出力抑制の順番、FIPを優遇する変更案。資源エネルギー庁
経済産業省・資源エネルギー庁はこのほど、出力制御の順番に関して、FIP電源の優先度を下げ、原則として出力制御の対象から外す考えを示しました。これは、FITからFIPへの移行を促すための措置とされ、早ければ2026年度にも実施を急ぐ考えです。どのような案なのか、委員会の協議内容をリポートします。
FIP発電所の出力制御の順番を引き下げ
資源エネルギー庁は、2024年8月7日に開催した再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会で、フィード・イン・プレミアム(FIP)の促進に向けた措置として、再エネ出力制御の順番を変更する案を示しました。
具体的には、出力制御の順番をFIT→FIPとし、FIPを適用している発電所の順番を引き下げる考えです。これによって、FIT発電所に対して優先的に出力制御が実施されることになります。委員会では、出力制御が比較的少ないエリアでは、原則として、FIP発電所に対して出力制御が行われないケースもありうるとされました。
発電予測の業務委託ニーズが高まる兆し
出力制御が実施されるタイミングは売電ができないため、出力抑制は発電事業者の売電収益を下げる要因の1つになっています。そのため、こうした制度変更が行われると、FITからFIPへ移行する事業者が増えると考えられます。
その一方で、FIPでは発電計画の作成・提出が義務化されます。これは、FITでは特例として免除されていたものです。発電量の予測値と実績値を30分単位で一致させることが求められ、ギャップが発生すると「インバランス」として一般送配電事業者との間で精算する必要があります。
FIPへ移行する発電事業者が増えることによって、こうした業務をアウトソーシングするニーズが高まるでしょう。その際には、的確な発電計画を作成できる専門業者を選ぶことが、インバランスを低減し、事業性の向上につながると考えられます。
FIT発電所の出力抑制の増加を懸念する声も
委員会は、この措置を早ければ2026年度中にも実施するとし、FIP発電所がFIT・FIP発電所全体の25%になるまで継続する考えです。
これに対して、太陽光発電協会(JPEA)からは、既存のFIT発電所への出力抑制が増加することから、事業性の悪化が懸念されるとして反対意見が提示されています。事務局は丁寧に説明して理解を求めたいとしていますが、今後の議論の行方が注目されます。
(参考:資源エネルギー庁 電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第66回))
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