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低圧太陽光を「適格事業者」に集約へ、再投資を促す。経産省

経産省はこのほど、低圧太陽光発電所の運営を、国が認定する「適格事業者」に集約する制度の案を示しました。卒FIT・FIP後を想定し、発電所への再投資を促すことで長期電源としたい考えです。「適格事業者」の概要や支援策について読み解きます。

 

課題は「多極分散型」の太陽光発電事業の持続

経済産業省・資源エネルギー庁は2024年10月22日、第70回再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会で、太陽光発電所の集約化を行う発電事業者を「適格事業者」として認定する制度の案を公表しました。

 

2032〜2036年に約2,900万kW、約47万件のFIT・FIP案件が認定・交付期間の満了を迎えるとされています。卒FIT・FIP後も発電事業を継続してもらうために、経産省は、再投資が見込める「責任あるプレーヤー」に小規模な太陽光発電事業を集約していきたいとしています。

 

また、日本の事業用太陽光発電は、50kW未満の低圧が占める割合が多い「多極分散型」の構造にあるとされています。多極分散型の構造では、売り手と買い手の双方に課題が生まれるとされます。買い手には、取引件数が増大して、地理的に離れた案件を管理する手間があります。売り手には、買い手を探す手間や取引の交渉が難航するといった課題があると指摘されています。

 

非FIT・FIP発電事業で5万kW以上の実績が条件に

再エネを長期にわたって信頼性のある電源とするには、こうした課題を克服しなければなりません。そこで、さまざまな所有者がいる低圧事業用太陽光発電を集約し、適切な再投資を行う「長期安定適格太陽光発電事業者」を経産省が認定する案が示されました。適格事業者の概要案は下図の通りです。

(長期安定適格太陽光発電事業者の条件。出典:資源エネルギー庁)

 

中でも、「FIT/FIPによらない事業実施が可能であること」という条件に関しては、「競争的な環境の下で実施されている太陽光発電事業の50,000kW以上の実績」という要件が設けられることになりそうです。

 

適格事業者に必要な優遇策を議論

適格事業者に対する優遇策としては、FIT・FIP変更認定時の事前周知方法の負担軽減、1人の電気主任技術者が複数事業所を管理する統括制度の適用、増設時に廃棄費用を一括積み立てする対象の除外、事業の売却を希望する事業者情報の先行公開といった案が挙げられました。

 

こうした優遇措置が、発電所を集約する際の魅力的な条件になりうるのかどうか、他にどのような支援策が求められるのかなど、今後の議論が注目されます。

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