第2回脱炭素長期電源オークション、蓄電池の募集容量など見直しへ
2023年度から新たに始まった長期脱炭素電源オークションでは、募集容量の2倍に上る応札がありました。脱炭素電源への新規投資をさらに促すために、資源エネルギー庁は、第1回のオークション結果を踏まえて制度の見直しを検討しています。見直し案のエッセンスをお届けします。
競争条件の共通化で、蓄電池の応札条件を変更
長期脱炭素電源オークションとは、脱炭素電源への新規投資を促進するために、20年間にわたって固定費水準の容量収入を支払い、投資予見性を高める仕組みです。2023年度から開始され、今年4月に初回のオークション結果が公表されました。第1回のオークション結果については、こちらの記事をご覧ください。(参考:長期脱炭素電源オークション、初回は976.6万kWが約定。他市場収益の還付額が焦点に)
資源エネルギー庁の制度検討作業部会は2024年8月16日、今年度中に行われる第2回オークションに向けた制度の見直しなどについて、中間とりまとめを公表しました。
それによると、第1回オークションでは蓄電池・揚水の応札量が極めて多かったことから、他の電源種別と比べて、相対的に応札のハードルが低かった可能性があるとされています。また、蓄電池に関しては、土地の確保や地域との調整などの準備状況に事業者によってばらつきがあることも指摘されました。
そこで、電源種別ごとの競争条件をできる限り共通化することを目指し、蓄電池の応札条件が変更されることになりました。
見直し①蓄電池の最低入札容量が「3万kW」に
第2回オークションでは、蓄電池の最低入札容量が1万kWから3万kWに引き上げられます。初回オークションの蓄電池容量が平均3.5万kWだったことを受け、一般水力と同様の最低入札容量である3万kWにするとしています。
見直し②募集区分と容量が変更
長期脱炭素電源オークションは、kWあたりの価格で競争するため、より蓄電容量(kWh)の少ない蓄電池の方が価格を抑えやすく、入札では有利になりやすいと考えられます。しかし、再エネの出力抑制量を低減するには、より蓄電容量の多い蓄電池の導入が期待されます。
そこで、第2回オークションでは、蓄電池の運転継続時間が3〜6時間未満のものと、6時間以上のものを区分し、それぞれの募集上限を75万kWとすることになりました。初回オークションでは、運転時間の区分がなく募集上限が100万kWだったため、全体で見ると50万kWの募集容量の増加ということになります。
また、第2回オークションから新たに「既設原発の安全対策投資」が追加されることもあって、全体の募集容量は500万kWになります。
(2024年度の脱炭素電源の募集量の全体像。出典:資源エネルギー庁)
蓄電池の募集区分が細分化されることによって、それぞれの上限価格も下図の通り算定されました。
(第2回入札の各電源種毎の上限価格。出典:資源エネルギー庁)
なお、長期脱炭素電源オークションで導入される再生可能エネルギー設備については、基本的にFIT・FIP制度と同様の規律を求めるとされています。蓄電池も同様に、資源エネルギー庁が実施している補助事業と整合する事業規律を確保するべきだとされました。
第2回オークションは来年1月にも実施の見通しです。今年10月ごろに事前登録が開始されると見られ、今後の動きに注目度が高まります。
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