脱炭素化のニーズの高まりと同時に、需要家が環境価値を調達しやすい制度の整備が進められています。2021年11月に初回オークションが開催される「再エネ価値取引市場(仮称)」では、FIT非化石証書を需要家が直接売買できるようになります。この新市場に関する最新の検討動向をまとめました。
FIT非化石証書の最低価格など出揃う
2021年8月27日の経済産業省・第56回制度検討作業部会では、「再エネ価値取引市場(仮称)」の課題である、需要家・仲介業者の条件や価格水準などについて議論されました。論点は以下の通りです。
①需要家の条件
日本卸電力取引所(JEPX)の取引資格を満たすことや国内の法人格を有することを条件とする方向です。「再エネ価値取引市場」はJEPX内に開設されるため、詳細は、引き続きJEPXにおいて議論されるとみられます。なお、JEPXでは、取引資格として純資産額1,000万円以上といった資産上の要件や破産者でないことなどの欠格事由を定めています。
②仲介事業者の要件
本会合では、FIT非化石証書を市場で売買し、他社に販売する役割を想定。取引の対象は法人とし、仲介業者同士の売買は認めない方向となる見込みです。また、需要家と同じくJEPXの取引資格相当の要件のほか、財務管理や情報管理の体制を求めるとみられます。こちらもJEPXへ議論が引き継がれます。
③価格水準
基本的な考え方として、FIT非化石証書の最低価格を0.3~0.4円/kWhとして検討を深めるとされました。従来の最低価格1.3円/kWhから大幅に引き下げになるとみられますが、需要家のニーズやJ-クレジットなど他の制度動向、再エネ賦課金の低減効果などを考慮し、引き下げの方向性となりました。
今後は、細かい論点についての議論が続けられ、パブリックコメントを経て中間とりまとめの予定です。本年11月19日~26日の初回オークション実施に向け、いよいよ議論が大詰めを迎えています。
当社では、新市場の検討動向だけでなく、多様な環境価値の調達手段をしっかりとウォッチしております。さまざまな条件、ご予算でのご提案も可能です。どうぞお気軽にお問合せください!
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