非化石証書2023年度第4回オークション、非FIT証書の約定量は続落
日本卸電力取引所(JEPX)は2024年5月22〜24日にかけて、2023年度第4回の非化石価値取引市場オークション結果を公表しました。前回に続いて再エネ価値取引市場の約定量が横ばいで推移する一方で、高度化法義務達成市場の取引結果は、輪をかけて低調なものになっています。第4回オークションの結果とともに、2023年度の非化石価値取引市場オークションを総括します。
FIT証書、約定最高価格が微増
2023年度第4回オークションにおける再エネ価値取引市場・FIT非化石証書の約定量は、約84億kWh。前回から約2億kWhの増加ですが、全4回を通じて、ほぼ一定の約定量となりました。売り入札量が優勢の状況は変わらないものの、約定最高価格は前回から0.4円アップの1.0円/kWh、約定最低価格は0.4円/kWhでした。
(再エネ価値取引市場の推移。※累積約定割合(%)は、累積供給量のうちの累積需要量の割合。筆者作成)
なお、前回の第3回オークション結果については、こちらの記事で解説しています。ぜひ併せてご覧ください。(参考:非化石証書2023年度第3回オークション、FIT・非FITの約定量に明暗)
非FITは売り・買い入札量ともに減少
高度化法義務達成市場における非FIT非化石証書(再エネ指定なし)の約定量は、前回から9割以上減少の0.2億kWh。売り入札量は引き続き優勢ですが、前回と比べて売り入札量そのものも大幅に減少しました。約定価格は全4回を通じて0.6円/kWhです。
(高度化法達成市場の推移(非FIT再エネ指定なし)。※累積約定割合(%)は、各回の市場拠出量+約定量の合計のうちの累積需要量の割合。筆者作成)
非FIT非化石証書(再エネ指定あり)においても、約定量は前回を大きく下回る約1.5億kWhとなりました。売り入札量は約25億kWhと優勢の状況が続いています。こちらも、約定価格は全4回を通じて0.6円/kWhです。
(高度化法達成市場の推移(非FIT再エネ指定あり)。※累積約定割合(%)は、各回の市場拠出量+約定量の合計のうちの累積需要量の割合。筆者作成)
非FIT証書の市場調達ニーズが低迷
非FIT非化石証書を取引する高度化法義務達成市場で取引を行うのは、小売電気事業者に限定されています。近年は、小売電気事業者が市場ではなく、相対契約を通じて非FIT証書を調達するケースが増えていると見られています。(参考:非化石証書2023年度第3回オークション、FIT・非FITの約定量に明暗)
相対契約では、非FIT証書の売り手と買い手が交渉しながら、取引価格や期間を決めていくのが一般的です。市場調達とは異なり、柔軟な取引条件が設定されるケースもあるでしょう。この先も、市場調達に変わって相対取引が主流の状況が続く可能性は、十分に考えられます。
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