日本化学工業所は、日本の合成染料の発祥の地とされる和歌山市を本拠とし、サステナビリティ経営によって脱炭素社会の実現を目指している研究開発型の化学メーカーです。長年にわたる事業パートナーの長瀬産業は、Reivalueとともに、日本化学工業所の脱炭素化と電気代のコスト削減の両立に取り組んでいます。脱炭素社会に向けた思いについて、日本化学工業所 代表取締役社長 田中俊一氏、長瀬産業 未来共創室 室長 吉田潔観氏、Reivalue代表取締役 堀口公希が対談しました。
(写真:左から、長瀬産業株式会社 未来共創室 室長 吉田潔観氏、株式会社日本化学工業所 代表取締役社長 田中俊一氏、Reivalue株式会社 代表取締役 堀口公希。筆者撮影)
【Interviewed with】
株式会社日本化学工業所 代表取締役社長 田中俊一氏
長瀬産業株式会社 未来共創室 室長 吉田潔観氏
Reivalue株式会社 代表取締役 堀口公希
創業1920年の日本化学工業所がサステナビリティ経営に取り組む理由

(和歌山市の日本化学工業所本社。提供:日本化学工業所)
ーーはじめに、日本化学工業所さまの事業概要をお伺いします。
田中 和歌山県では、江戸時代から綿の織物や染色業などの繊維工業が盛んでした。明治時代は、ドイツから合成染料を多く輸入していましたが、第一次世界大戦によって合成染料の輸入が途絶え、国産化の必要性に迫られました。その後、1914(大正3)年に先人たちの努力によって合成染料の国産化に成功し、その後、さまざまな形で有機化学分野の発展につながったという歴史があります。
当社は1920(大正9)年に創業し、合成染料の製造を始めました。1960年代には、世界に先駆けて、ポリプロピレン繊維用の蛍光増白剤の開発に成功し、製造を開始しました。“色”から事業をスタートしましたが、現在では“色と光のスペシャリスト”として、社会の課題・ニーズ、お客さまのお困りごとを解決するために営業部門と開発部門が連携して事業領域を拡大し、現在は、ゲーム機やパソコン、スマートフォンなどの基板に使われる半導体関連材料なども開発しています。
ーーサステナビリティ経営を大切にしておられるそうですが、どのような理由があるのでしょうか。
田中 先ほど、当社は1920年創業と申しましたが、100周年にあたる2020年はコロナパンデミックの真っ只中でした。予想だにしない社会の変化に際して、100年に一度の大変革の時代に挑戦し、企業が生き残るためには、これからの時代の事業環境への適応が重要であると確信したのです。これからの事業環境に適応するには、6つの成長課題で事業継続力を強化するとともに、企業価値を向上させることが大切だと考えています。
そこで、イノベーション、デジタルトランスフォーメーション(DX)、グリーントランスフォーメーション(GX)、サステナビリティ、人への投資、事業継続力の強化(BCM/BCP)に力を入れています。これらの6つの成長課題は別々のテーマと捉えられがちですが、これからの時代に向けた事業環境への適応策として見ると、すべてつながっていると考えています。
例えば、イノベーションには、DX、GXはもとより、人への投資やサステナビリティ、BCPが不可欠です。また、これからの高齢化社会に向けて、企業としては、社員が年齢を重ねても働き続けられる仕組みづくりと作業環境を整備する必要があると考えています。ここにも6つの成長課題が関わってきます。一例を挙げると、LED照明への交換は省エネに役立つという印象が強いですが、LEDのもとでは年配の方でも文字が読みやすくなり、働きやすさと労働安全衛生の保持につながります。このように、物事は関連しあって成り立っているのです。
当社にとってサステナビリティ経営とは、事業を通じて6つの成長課題を推進し、環境を含む社会課題の解決による社会貢献と事業の両立を目指したものです。
当社では、常に人と組織と社会を経営の中心に据えるべきだと考えています。パナソニックの創業者である松下幸之助氏は和歌山市のご出身ですが、「企業は社会の公器」、「企業は人なり」と提唱されています。これこそ、時代が変わっても経営の根底に流れる不易流行の本質であると考えています。
日本化学工業所の事業パートナー、長瀬産業との“信頼の歴史”

(日本化学工業所本社でのインタビューの様子。筆者撮影)
ーー日本化学工業所と長瀬産業は、長年にわたる事業パートナーだと伺いました。
吉田 NAGASEグループとして、長年にわたってお取引をさせていただいています。先ほどの田中社長のお話を伺って、人と組織と社会に対する考え方に大変共感しました。当社の基本理念の1つには「誠実に正道を歩む」があり、こうした共通項があるからこそ、長くお取引させていただいているのではないかと感じました。
脱炭素に関しては、当社からCO2排出量の見える化ツールをご提案し、採用いただいた経緯があります。以前から、さまざまなエネルギーのご使用量などのデータを記録されていたと伺っていますが、これらのデータをCO2排出量として可視化したことで、さらなる取り組みに生かしやすくなったとご評価いただいています。
また、当社が関西の企業に向けて開催している「環境サステナビリティコンソーシアム」にもご参加いただいています。これは、環境やサステナビリティに関する最新情報を参加企業に共有し、一緒に対策を検討していく場として設けたものです。関西には日本化学工業所さまのように歴史のある企業が多く、異業種交流の場としても活用いただいています。
Reivalueと長瀬産業のタイアップで脱炭素化のソリューションを提案

(ソリューションの提案にあたって大切にしたことを語る堀口(右)。筆者撮影)
ーー脱炭素化に向けて、エネルギーの面ではどのようなご提案をされたのでしょうか?
吉田 長瀬産業 未来共創室では、お客さまのニーズや課題に対応する専門分野のパートナー企業さまとタイアップし、全体コーディネーターとしてお客さまのエネルギー課題の解決を目指しています。日本化学工業所さまに向けては、当社が業務提携をしているReivalue(リアイバリュー)によるエネルギーソリューションをご提案しました。
堀口 ご提案にあたっては、お客さまのご要望をお伺いして、「電力コスト削減」と「CO2削減」を両立できる実践的なご提案を心がけました。複雑化する電気料金のメニューや燃料費変動のリスクをできる限り丁寧にご説明し、単なる価格競争ではなくリスクヘッジを含めて考慮した結果、小売電気事業者2社で電力を供給する「分割供給」というご提案をさせていただきました。
先ほどの田中社長のお話の通り、需要家さまが電力契約に求めるものは今、コスト削減だけではなく、環境の側面や経営上の位置付けなど、多様な意味をもつものだと捉えています。当社は、お客さまのお考えやご要望に可能な限り寄り添ったご提案を心がけています。お客さまのご要望を実施する上で予想される課題に対しても、リスクヘッジや対策の検討、ご提案にも力を入れています。
田中 工場の設備更新一つをとっても、付加価値労働生産性の向上やエネルギーコストの低減に加えて、環境や労働安全衛生、防災、働きやすさなど、さまざまな観点を組み合わせてトータルで考え、最適化しなければなりません。だからこそ、電力コストの削減やCO2削減、人への投資、BCPといった観点はすべてつながっていると考えています。こうした一連の取り組みを通じて、事業として正しいことをやった結果が利害関係者の皆さまの評価として返ってくるのだと思います。
日本化学工業所が描く「脱炭素社会」の姿

(日本化学工業所では半導体関連材料の開発・製造にも力を入れている。提供:日本化学工業所)
ーーパートナー企業とともに、将来に向けてどのように取り組んでいきたいとお考えでしょうか。
田中 現代は社会の変化スピードが極めて早く、それに対応するには、走りながら考え、取り組んでいかなければ間に合わないと考えています。まずは、正しい方向に向かって走ること、次に、走りながら考え、修正しながらゴールを目指していくことが重要だと思っています。サステナビリティやESG、SDGsの本質は人々が豊かに暮らせる社会の実現であり、将来の子どもたちの世代にそれを引き継ぐことです。社会の公器として、当社は変わらず人と組織と社会を主体としながら正しい道を歩んでいきたいと考えています。
Reivalueと長瀬産業とのシナジーで未来に向けて伴走

(インタビューは和やかに進み、企業のあり方について共感が広がった。筆者撮影)
ーー日本化学工業所さまの目指す姿の実現に向けて、両社はどのように貢献していきたいとお考えですか?
吉田 当社は、パートナー企業であるリアイバリューとともに、引き続きお客さまの課題やニーズに寄り添ったご提案を実施したいと考えています。NAGASEグループでは、化学分野はもちろん、それ以外にも幅広い領域をカバーしていますので、新しい技術や情報についても、お客さまとの対話の中でご提供していきたいと思います。
その中で、われわれの強みをリアイバリューのソリューションと掛け合わせると、さらに付加価値の高い新たなご提案もさせていただけるのではないかと期待しています。特に、脱炭素やエネルギーの分野でそういったご提案ができたら大変有意義だと考えています。
堀口 田中社長がおっしゃった通り、現在は、エネルギーに関しても極めて変化の激しい時期だと感じています。当社は、エネルギー分野の専門家として、一歩先の未来を予測しながら、お客さまが目指す姿やありたい未来に向けて、少しでも支えとなるようなご提案を差し上げていきたいと思っています。
当社は、人と人のつながりで、エネルギーを中心としたさまざまな課題解決に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。当社のロゴは、「人」が3人で手を取り合っている姿を表現したものです。本日の田中社長のお話には大変共感しましたし、このご縁を大切に、今後もエネルギーの面で伴走させていただきたいと思います。本日はありがとうございました。
田中 私もご両社の基本理念に共感するところです。長瀬産業さまとの長年の良きご縁が今回リアイバリューさまとの良きご縁に連鎖し、とても嬉しく思います。今後とも、長瀬産業さま並びにリアイバリューさまには、当社のサステナビリティ経営にご指導・ご支援を賜りたく、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
エネルギーのお困りごとはございませんか?
当社は、コスト削減やカーボンニュートラル実現に向けたエネルギーソリューションの提供と、ソリューションを実践し培った知見に基づくエネルギーのアドバイザリーや実務支援を行っております。お客さま毎に異なるニーズに合わせて、環境目標達成に向けたソリューションを”具体的に”ご提案させて頂きます。再エネ電力調達、CO2削減に関するお困りごとがありましたら、お気軽にお問い合わせください。