科学に基づく目標設定イニシアチブ(SBTi)は2026年6月11日、企業向けネットゼロ基準のバージョン2.0を公表しました。注目されたアワリーマッチングや供給可能性(デリバラビリティ)の義務化には至りませんでした。
Scope2をめぐりルールの厳格化が焦点に
温室効果ガス(GHG)排出量算定のルールをめぐって、GHGプロトコルが大幅な改定を検討しています。主として焦点になっているのは、間接排出量であるScope2のガイダンス改定に盛り込まれた、アワリーマッチング、供給可能性(デリバラビリティ)、標準供給サービス(SSS)の3点です。
アワリーマッチングとは、証書と電力需要を1時間単位でマッチングさせることです。日本では現在、1年単位で証書と電力需要を合致させればよいというルールになっており、マッチングの解像度が高くなるのかどうかという点が注目されています。
供給可能性(デリバラビリティ)とは、証書と電力が同一の市場から調達され、供給可能な発電所に由来するものでなければならないとする考え方です。
標準供給サービスとは、法令などで社会全体が負担する非化石電源は、バウンダリの平均までしか主張できないとする案です。例えば、再エネ賦課金で支えられているFIT電源を活用する場合、再エネ価値は市場平均までしか主張できないことになります。
なお、GHGプロトコル改定については、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。(参考:GHGプロトコルのScope2改定案、Amazonやアップルなど66団体が緩和求める Reivalueメディア)
アワリーマッチングは企業の自主性に委ねる
2026年6月11日には、科学に基づく目標設定イニシアチブ(SBTi)が企業向けネットゼロ基準のバージョン2.0を公表しました。GHGプロトコルとSBTiの企業向けネットゼロ基準はそれぞれ独立したものですが、GHGプロトコル改定と同様に、アワリーマッチングの動向などが改定の焦点となっていました。
SBTiの新しい企業向けネットゼロ基準では、アワリーマッチングの取り組みは望ましいものの、義務化ではなく、企業の自主性に任せる(Voluntaly)とされました。その理由としては、「新たな取り組みであるため、アワリーマッチングを導入する最善の方法については、依然として大きな不確実性が残っている」ためと説明されています。
また、デリバラビリティに関しては、調達と消費が同じシステム内にあることが望ましいとされましたが、複数の地域にまたがる負荷がある場合などの例外的な条件も設けられました。
このように、SBTiでは、アワリーマッチングの義務化は見送られ、企業の自主性に委ねられることになりました。GHGプロトコルの改定は、2027年内に最終化される見通しです。前述でご紹介した記事では、Amazonやアップルといった世界の66団体が、アワリーマッチングなどを自主的な取り組みにとどめるよう条件の緩和を求めたことをお伝えしました。GHGプロトコル改定がどのように着地するのか、引き続き注視していきます。
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