昨年11月に開設された「再エネ価値取引市場」によって、需要家がFIT非化石証書を直接取引できるようになりました。初年度にあたる2021年度分のすべての取引を終えた今、最終オークションの結果が脱炭素化・“GX化”の加速を物語っています。
2021年度分の最終オークションは取引量最多に
経済産業省は2022年5月25日、第65回制度検討作業部会において「再エネ価値取引市場」の2021年度最終オークションの結果を発表しました。再エネ価値取引市場とは、需要家がFIT非化石証書を直接購入できるマーケットとして、2021年11月にスタートしたものです。
なお、前回のオークション結果については、こちらの記事で詳しくご紹介しております。ぜひ合わせてご覧ください。
(リンク:再エネ価値取引市場、第2回オークション結果を発表! 約定価格は? | REiVALUE Blog)
このほど公開された、2021年度の最終オークションの取引結果は以下の通りです。
出典)経済産業省 第65回制度検討作業部会 参考資料「非化石価値取引市場について」より抜粋
今回のオークションは、2022年5月2〜13日に開催され、過去3回のうちでもっとも多い21.39億kWhを約定しました。約定価格は加重平均で1kWhあたり0.3円、最安価格も同額となっています。
入札会員数は前回より増え136者(約定会員数も同数)となっていますが、入札価格の多くが0.3円/kWhという最安値だったことが想像できます。
再エネ価値取引市場は、今回で初年度分のオークションがすべて終了し、2022年度分からは年4回の開催になると見られます。今後のオークションの開催スケジュールや結果についても本ブログにて逐次お知らせしていきます。
「カーボン・クレジット市場」の新設控え、今年度内にルール固める
さて、株式会社日本取引所グループ(JPX )は5月16日、経済産業省の「カーボン・クレジット市場の技術的実証等事業」を落札したと発表しました。また、今年9月にはカーボン・クレジットの試行取引を予定しているとも述べています。
(参考:2022/05/16 JPX東証 経済産業省委託事業「カーボン・クレジット市場の技術的実証等事業」の落札について)
カーボン・クレジット市場とは、企業間などでCO2の排出量を取り引きする新たなマーケット。脱炭素化を含む経済社会システムの変革であるGX(グリーントランスフォーメーション)を軸とする「GXリーグ構想」の三本柱の1つに位置付けられています。
出典)GXリーグ特設サイト 資料「GXリーグ準備期間(2022年度)の活動について」より抜粋
GXリーグ構想には、4月1日現在で440社の企業が賛同しており、今年度は「『GXリーグ』の土台をつくるための実証」と位置付けられました。カーボン・クレジット市場も来年度から本格的な取引が開始されると考えられ、今年度中におおよそのルールが固まると予想されています。
GXリーグ構想については、こちらの記事でより詳しくご説明しています。
(リンク:「GXリーグ」では排出量取引も。脱炭素の情報や資金集まる場となるか | REiVALUE Blog)
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