レベニューキャップ制度とは? 2023年度、 託送料金は全国で値上げか
新たな託送料金制度である「レベニューキャップ制度」が、2023年度からスタートします。レベニューキャップ制度とは何か、今後の託送料金の見通しはどうなるのかなどについて、詳しくご説明します。
レベニューキャップ制度とは
レベニューキャップ制度とは、一般送配電事業者が電気を運ぶための託送料金に関する新たな制度です。その仕組みは次の通り。まず、一般送配電事業者が、今後5年間において達成すべき目標に基づいて事業計画を策定します。次に、必要な費用を見積もり、その収入上限(レベニューキャップ)について国の承認を受けます。そして、その範囲内において、柔軟に託送料金を設定することを可能とするのです。
レベニューキャップを設定することにより、送配電網への必要な投資を確保するとともに、コスト効率化の両立を図ることができるとされています。一般送配電事業者が策定した事業計画においては、各項目に目標を設定することが定められますが、一部の目標には、達成状況に応じ、翌期の収入上限のボーナスやペナルティが与えられます。そのため、一般送配電事業者が自主的にコスト削減に取り組むインセンティブが強化されると考えられています。
(レベニューキャップ制度による利用者還元のイメージ。出典:資源エネルギー庁 持続可能な電力システム構築小委員会『中間取りまとめ』より抜粋)
レベニューキャップ制度は2023年度から
レベニューキャップ制度は、2023年4月から開始されることが決まっています。来年度のスタートに向け、2022年7月下旬には、一般送配電事業者各社が「収入の上限の見通し」を提出しました。今後、これらの査定や審査を経て、経済産業省による承認が行われるとみられています。
(レベニューキャップ制度の業務フローについて。経済産業省 第52回電力・ガス基本政策小委員会 資料3-4より抜粋)
託送料金は全エリアで値上げの見通しか
一般送配電事業者各社は、収入の見通しを1kWhあたりに換算した単価を公表しています。この単価は託送料金ではありませんが、2023年度からの託送料金がどのような水準になるのか考えるための参考値だと捉えることができます。下表は、一般送配電事業者各社が発表した託送料金単価の見通しをまとめたものです。
(レベニューキャップ制度による単価の見通し。※参考値 一般送配電事業者各社WEBサイトより筆者作成)
多くの電力エリアで需要が減少の見通しであることなどから、単価の見通しも、全体として値上がりの傾向にあるようです。ただし、この見通しは2022年7月末現在のものであり、今後の査定や審査の結果によっては変更になる可能性があるため、注意が必要です。本ブログでは、こうしたレベニューキャップ制度の動向についても、逐次お届けしてまいります。
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