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東電EP、高圧以上の標準メニュー見直し単価を発表。来春から再開か

東京電力エナジーパートナーは9月20日、2023年4月以降の標準料金メニューに関する見直しの内容について発表しました。高圧・特別高圧の標準料金メニューは軒並み大幅な値上がりとなり、燃料費調整単価の算出方法も変更されます。どのような見直しが予定されているのか、詳しく解説します。



東電EPの電力量料金、来春から6円以上値上げに

東京電力エナジーパートナー(東電EP)は2022年9月20日、高圧・特別高圧の標準料金メニューについて2023年4月以降に見直しを行うと発表しました。東電EPでは現在、高圧以上の新規申込については「市場連動型料金メニュー」のみ受付していますが、2023年4月以降、見直し後標準料金メニューでの受付を再開する見通しです。今回の標準料金メニュー見直しのポイントは、主に次の3点です。

 

(1)従来の燃料費調整制度に市場価格の変動を調整するしくみを新たに導入

現行の燃料費調整制度は、化石燃料の貿易統計価格に基づき毎月算出されています。しかし、現在の燃料費調整制度は2012年の料金改定時を前提としており、最新の電源構成などが反映されていません。

 

そこで、今回の見直しでは、現行の燃料費調整単価を「燃料価格調整項」に更新するとともに、日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場価格を反映した「市場価格調整項」を新しく導入します。新設される「市場価格調整項」は、毎月変動する平均市場価格とあらかじめ決められた基準市場価格との差額に、基準市場単価を乗じて算出します。

 

(出典:東京電力ホールディングス株式会社・東京電力エナジーパートナー株式会社『特別高圧・高圧の料金メニュー(標準メニュー)の見直し詳細について』より抜粋。2022年9月20日)

 

(2)標準メニュー単価の見直し

燃料費調整単価だけでなく、標準料金メニューそのものも見直しが行われます。基本料金は据え置きとなりますが、電力量料金単価は、見直し前単価に2022年9月分適用の燃料費調整単価を加えた単価に変更されます。

 

2022年9月の燃料費調整単価は、高圧6.27円/kWh、特別高圧6.19円/kWhですので、見直し後の標準料金メニューの電力量料金単価は少なくとも6円以上の値上がりとなりそうです。東電EPが公表した標準料金メニュー単価のうち、高圧の主要なメニューについて下図に抜粋してご紹介します。

(東京電力エナジーパートナー高圧向け見直し後の電力量料金単価(燃料費調整単価等の反映前)出典:東京電力ホールディングス株式会社・東京電力エナジーパートナー株式会社 プレスリリース<別紙2>より抜粋。2022年9月20日)

 

注意すべき点として、こちらの電力量料金単価には燃料費調整単価等は反映されていません。また、実際に請求される際には、再生可能エネルギー発電促進賦課金単価も加わることから、需要家にとっては値上げのインパクトが重くのしかかってくると予想されます。

 

なお、高圧の自家発補給電力や特別高圧の標準料金メニューの見直し後電力量料金単価については、東電EPプレスリリース<別紙2>をご確認ください。(参考:東京電力エナジーパートナー株式会社 プレスリリース『特別高圧・高圧の料金メニュー(標準メニュー)の見直しについて』2022年9月20日)



(3)託送レベニューキャップ制度導入等に伴う託送料金見直しの反映

全エリアにおいて、2023年度から新たな託送料金制度である「レベニューキャップ制度」の導入が予定されています。それに伴って、電気料金に含まれる託送料金も値上げされると予想されています。レベニューキャップ制度については、こちらの記事でより詳しくご説明していますので、ぜひ合わせてご覧ください。(参考『レベニューキャップ制度とは? 2023年度、 託送料金は全国で値上げか | REiVALUE Blog』)

 

東電EPは今回、2023年4月からのレベニューキャップ制度の導入に伴い、託送料金が高圧0.42円/kWh、特別高圧0.17円/kWhの値上げになる見通しを明らかにしました。なお、東電EPによると、これらの単価はあくまでも見込みであり、具体的な見直し単価は改めて発表するとしています。

 

(出典:東京電力ホールディングス株式会社・東京電力エナジーパートナー株式会社『特別高圧・高圧の料金メニュー(標準メニュー)の見直し詳細について』より抜粋。2022年9月20日)



東北、東電に続く他エリアの動きにも注目を

今回、東電EPが標準料金メニューの見直しを発表しましたが、今後、ほかの旧一般電気事業者でも同様の発表が続くとみられます。東北電力については、9月20日から見直し後の標準料金メニューの新規受付を停止し、一旦、市場連動型メニューのみ受け付けるという方針転換を行ったことを前回の記事でご紹介しました。(参考『東北電力、9月20日から高圧以上の新規受付を市場連動型のみに変更| REiVALUE Blog』)

 

電気料金の改変においては、レベニューキャップ制度の導入があることから、2023年4月というタイミングがひとつの区切りとなりそうです。本ブログでは、こうした動向をいち早くレポートしてまいります。

 

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