カーボン・クレジットとは?企業による活用事例や課題も解説
経済産業省と東京証券取引所によるカーボン・クレジット市場の実証事業が始まってまもなく半年です。しかし、そもそも「カーボン・クレジット」とはどういったものなのでしょうか? 今さら聞けないカーボン・クレジットの基礎知識や活用事例、今後の課題などについて、わかりやすく解説します。
カーボン・クレジットとは
カーボン・クレジットとは、簡単に言うと、再生可能エネルギーの導入、森林の保護・植林、省エネ機器の導入などによって生まれたCO2削減効果(削減量、吸収量)をクレジットとして売買できるようにし、ほかの企業や団体などと取引できるようにする仕組みのことです。
カーボン・クレジットは、大きく2種類に分けられます。国連・政府が主導するものと民間が主導するもので、民間主導のものはボランタリークレジットとも呼ばれます。それぞれの分類におけるカーボン・クレジットには次のようなものがあります。本ブログでたびたび紹介しているJクレジットもカーボン・クレジットの一つです。
(カーボン・クレジットの大まかな分類。出典:経済産業省『カーボン・クレジット・レポートの概要』2022年6月)
企業によるカーボン・クレジットの活用事例
カーボン・クレジットは、企業などによる排出削減の手段として注目されています。再エネ電力への切り替えや省エネといった排出削減に取り組んだうえで、どうしても削減できないCO2排出量に対してカーボン・クレジットを調達することで、実質的に排出削減を行ったとみなされるからです。
国内や海外の企業によるカーボン・クレジットの活用事例には次のようなものがあります。ここでは、自動車セクターとオイル&ガスセクターの企業の活用事例を抜粋してご紹介します。
(カーボン・クレジットの企業による自主的な活用。出典:経済産業省『カーボン・クレジット・レポートの概要』2022年6月)
カーボン・クレジットの活用における課題
カーボンニュートラルの実現に役立つと期待されるカーボン・クレジットですが、さらなる活用に向けては課題もあります。需要・供給・流通の面における課題は次の通りです。
- クレジット需要の課題
さまざまなクレジットが存在するため、どれを調達すれば良いのかわかりにくい。国内の温対法や省エネ法など各種制度への位置付けなど、活用方法がわかりにくい。
- クレジット供給の課題
現行のインベントリに基づく方法論によるクレジットでは、創出を推進することが難しい。日常生活の脱炭素アクションによるクレジットを創出する素地がない。
- クレジット流通の課題
国内では相対取引がメインであるため、取引量や価格が公表されにくい。そのため、クレジット価格がカーボンプライシングとして機能せず、脱炭素に向けた行動変容を促しにくいとともに、クレジット創出の投資予見性が低い。
2050年カーボンニュートラルに向け、多くの企業や自治体が脱炭素に取り組む中、カーボン・クレジットの需要はますます増加すると予想されます。国内における各種制度への組み込みや、ボランタリークレジットの動向などは今後も注目に値します。本ブログでは、こうしたカーボン・クレジットに関する情報についても逐次お届けしていきます。
当社は、経済産業省と東京証券取引所によるカーボン・クレジット市場実証の売り方・買い方の双方に参加しております。カーボン・クレジット市場によるクレジットをご希望の方は、どうぞお気軽にご連絡ください。
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