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高度化法、FIT証書の「代替調達」を2024年度最終オークションで実施へ

経済産業省・資源エネルギー庁は2025年4月23日、第102回制度検討作業部会で、エネルギー供給構造高度化法(高度化法)への対策として、小売電気事業者が、これまで認められていなかったFIT非化石証書を代替で調達できるようにする方針を明らかにしました。ただし、調達価格は1.3円/kWh以上とされ、高値での取引が予想されます。どのような方針転換なのか、リポートします。

高度化法対応のための「代替調達」とは

エネルギー供給構造高度化法(高度化法)では、年間の販売電力量が5億kWh以上の小売電気事業者に対して、2030年までに非化石電源比率を44%に引き上げることを義務付けています。2023〜2025年度は高度化法の第二フェーズとされており、今年度は最終年度にあたります。

4月23日に開催された制度検討作業部会では、非化石価値取引市場の2024年度第3回オークションで、非FIT証書(高度化法義務達成市場)の買い入札が優勢で品切れとなったことを受けて、小売電気事業者が高度化法を達成するための方策を議論しました。

具体的には、過去の議論で整理された「代替調達」の可能性が浮上しました。代替調達とは、市場の需給バランスが1を下回る場合には、非FIT証書の上限価格以上で、小売電気業者がFIT証書を調達し、高度化法に活用できるようにするものです。

需給バランスの見極めにあたって、高度化法の対象となる小売電気事業者などにアンケートを実施した結果、2024年度の想定需給バランスは0.99となる見込みとされました。つまり、代替調達を認める条件が揃ったことになります。

代替調達の想定量は100億kWh 影響は「限定的」

そのため、制度検討作業部会では、2024年度第4回の非FIT証書オークションで、高度化法の達成に必要な証書を1.3円/kWh以上で入札することを条件に、代替調達を認める方向性を示しました。なお、代替調達は年度の最終回である第4回オークションで実施されます。

FIT証書オークションに関しては、FIT証書の売れ残り約800億kWhのうち、代替調達の必要量は最大100億kWhと想定されるため、影響は限定的であるとされました。また、代替調達によるFIT証書の購入費用は、再生可能エネルギー発電促進賦課金の低減に当てられることから、国民負担の軽減に役立つとされています。

こうした背景もあってか、2025年5月23日に約定した2024年度第4回の非化石証書オークションでは、FIT証書の約定最高価格は1円/kWhから4円/kWh、平均約定価格は0.4円/kWhから0.67円/kWhに値上がりしました。非FIT証書を含むオークションの結果については、本ブログで改めてリポートします。高度化法第二フェーズの最終年度を迎え、非化石証書の取引動向を注視する重要性が高まっています。

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