経済産業省・資源エネルギー庁は2025年12月12日、非化石価値取引市場の上下限価格の見直しについて議論しました。これまで、再エネ価値取引市場と高度化法義務達成市場の両方で、下限価格への張り付きが顕著に見られていることを問題視したためです。検討の概要をリポートします。
資源エネ庁 下限価格の張り付き傾向を問題視
経済産業省・資源エネルギー庁によると、再エネ価値取引市場、高度化法義務達成市場のこれまでの約定価格の推移は下図の通りです。証書の需給がタイトになる場合を除き、ほぼ下限価格に張り付いています。

非化石価値取引市場の市場価格の推移(出典:資源エネルギー庁)
これまでの非化石価値取引市場の上下限価格は下図のように推移しています。再エネ価値取引市場におけるFIT証書は、需要家のニーズに応えて市場を創設した背景もあり、下限価格が0.4円/kWhと低く設定されています。その一方で、非FIT証書を取引する高度化法義務達成市場では、発電事業者・小売電気事業者の予見性を確保する観点から、下限価格0.6円/kWhが導入された経緯があります。

非化石価値取引市場における上下限価格の推移(出典:資源エネルギー庁)
証書ニーズの高まりや長期的な見通しから上下限価格を再考
上下限価格の見直しに向けた検討の視点として、資源エネルギー庁は複数の考え方を示しています。まず、脱炭素電源投資の重要性が高まっていることから、非化石価値市場の価格が低位で推移するとこうした電源の投資拡大のインセンティブになりにくいと指摘しました。
続いて、環境価値のニーズが高まっている一方で、事業用太陽光の卒FIT案件が発生する2032年度以降は、FIT証書の供給量が減少し、証書の需給がタイトになると指摘しました。こうした背景から、中長期的に非化石証書、特に非FIT証書のアクセス環境を整備するべきだとしています。
また、コーポレートPPA(電力購入契約)においての環境価値の取引価格を決める際には、非化石価値取引市場の市場価格が1つの水準になることから、市場価格が低いと、需要家が中長期のPPAを締結するインセンティブを阻害する可能性があるとしました。
さらに、高度化法義務達成市場で小売電気事業者が証書を調達する場合に、FIT証書が非FIT証書より安価だとその価格差を需要家から回収することが難しいと指摘し、それぞれの特徴を踏まえた対応が必要だと述べました。
こうした指摘から考えると、非化石証書が下限価格ではない適切な価格で取引される方向で検討が進むと考えられます。また、再エネ価値取引市場と高度化法義務達成市場の価格差についても指摘があり、今後、この2つの市場の価格差がどのように扱われていくのかにも注目です。
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