2026年度に開始される排出量取引制度「GX-ETS」をめぐって、経済産業省は排出枠の無償割り当てについて議論しました。割り当ての基準となる排出量原単位(ベンチマーク)の具体的な水準案についてリポートします。
業種ごとのベンチマーク水準 30年度に「上位32.5%」目指す
経済産業省・資源エネルギー庁は、二酸化炭素(CO2)排出量が一定規模以上となる事業者に対して、2026年4月から「GX-ETS」への参加を義務付ける見込みです。2025年10月17日に開催した排出量取引制度小委員会では、国が各事業者に一定量の排出枠を無償割り当てすることをめぐって、割り当ての基準となる目指すべき排出量原単位(ベンチマーク)の水準案を具体的に示しました。
発電事業者や製造業などのエネルギー多消費業種については、業種ごとにベンチマークを設けて、各社への無償割り当て量を決めることになっています。また、ベンチマークの水準を年度ごとに引き下げて無償割り当て量を減らしていき、CO2削減を促す狙いがあります。
今回の会合では、省エネ法を参考として業種ごとの「上位50%」を基準年度のベンチマーク水準として設定し、2030年度には「上位32.5%」にまで引き下げる案が示されました。また、業種ごとの「上位50%」のベンチマーク水準を決める際には、事業者の活動量も考慮することとしました。
排出量取引制度小委員会ではこれまで、傘下に「製造業ベンチマーク検討ワーキンググループ(WG)」、「発電ベンチマーク検討WG」を設置して、ベンチマークの検討を行ってきました。発電事業者の場合には、活動量として発電電力量(kWh)を考慮することになります。
ベンチマーク対象外の排出源はグランドファザリング
なお、今回の会合では、ベンチマークの対象とならなかった排出源については、「グランドファザリング(年率削減方式)による割り当て」を行うこととされました。グランドファザリングによる割り当てでは、過去の排出量実績をもとに、毎年度、一定の比率で割り当て量を減らしていきます。2023〜2025年度の排出量の平均を基準として、削減率を乗じて割り当て量を算出することとされました。
本ブログでは、来年度からの制度開始に向けて、GX-ETSに関する議論の動向をこれからも逐次リポートしていきます。これまでの検討については、こちらの記事で解説していますので、併せてご覧ください。(参考:排出量取引制度 GX-ETS、算定の詳細や割当の調整について議論が進む)
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